―見落としがちなポイントと法的リスクを解説―
特定技能外国人の受入れにおいて、
「届出はしているつもりだが、正直よく分からない」
という話を聞きます。
しかし、特定技能制度における届出は、
単なる事務手続ではなく、法令上の義務です。
本記事では、届出の基本と見落としやすいリスクについて、
実務の視点から整理します。
■ 特定技能における届出義務の基本
特定技能外国人を受け入れる企業(受入機関)には、
入管法に基づき、各種届出が義務付けられています。
大きく分けると、次の2つです。
① 随時届出
一定の事由が発生した場合に行う届出です。
主な例としては、
- 雇用契約の内容変更
- 退職・転職(契約終了)
- 支援計画の変更
- 受入れ困難事由の発生
などが挙げられます。
👉原則として、事由発生から14日以内に提出が必要です。
② 定期届出
一定期間ごとに行う報告です。
- 受入れ状況
- 活動状況
- 支援実施状況
などについて報告します。
👉現在は年1回の提出が基本となっています。
■ 届出を怠った場合の法的リスク
届出をしなかった場合や、虚偽の内容を届け出た場合には、
入管法上の罰則の対象となる可能性があります。
具体的には、
- 届出義務違反・虚偽届出
→ 30万円以下の罰金
さらに、
- 改善命令に従わない場合
→ 6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
といった刑事罰が規定されています。
また、これとは別に、
- 受入れ停止
- 指導・監査の対象
- 登録支援機関の登録取消し(該当する場合)
といった行政処分のリスクもあります。
■ 重要:届出の問題と「実態」は別
ここで非常に重要なのが、
👉届出の問題と、実際の働き方(実態)は別である
という点です。
● 届出漏れの場合
届出をしていない、あるいは遅れている場合は、
原則として
👉行政対応・罰則の問題
となります。
● 実態が在留資格と合っていない場合
一方で、
- 許可されていない業務に従事している
- 特定技能の要件を満たさない体制で受け入れている
といった場合には、
👉不法就労と判断される可能性があります。
さらに、その状態で就労させていた場合、
👉不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金等)
に発展するリスクもあります。
■ 現場でよくあるリスクパターン
実務上、特に注意が必要なのは以下のケースです。
- 転職後、届出をせずに就労を継続
- 人手不足により、想定外の業務を任せている
- 支援内容が実態と乖離している
多くの場合、悪意があるわけではなく、
👉**「知らずにズレている」ケースがほとんどです。**
しかし、そのまま放置すると、
後から大きなリスクとして顕在化します。
■ 特定技能は「採用して終わり」ではない
特定技能制度においては、
👉採用時よりも、受入れ後の運用の方が重要です。
- 届出が適切に行われているか
- 実際の業務が在留資格と合っているか
- 支援が計画どおり実施されているか
こうした点を継続的に確認していく必要があります。
■ まとめ
特定技能の届出については、
- 届出義務は法令上の義務である
- 違反した場合は罰則の対象となり得る
- ただし、届出と実態は別問題
- 実態のズレはより重大なリスクにつながる
という点が重要です。
■ 最後に
外国人雇用においては、
👉「制度の理解」と「現場の運用」
この両方が揃って初めて、適正な受入れが実現します。
一度、自社の運用状況を見直してみることをおすすめします。

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