「不法就労助長罪」と各種業法の欠格事由への追加提案を解説
外国人を雇用する企業にとって、在留資格の確認はこれまで以上に重要になっています。
出入国在留管理庁が公表した**「不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~」**では、不法滞在者本人への対応だけでなく、不法就労をさせる企業や事業主、あっせん業者への取締りを強化する方針が示されました。
なかでも企業側が注目しておきたいのが、
「不法就労助長罪を各業法の欠格事由に盛り込むことを提案する」
という内容です。
現時点では法改正を前提とした「提案」の段階ですが、今後制度化されれば、不法就労助長罪による処罰が、単に刑事罰だけで終わらず、事業上必要な許認可にも影響する可能性があります。
不法就労助長罪とは
不法就労助長罪とは、事業活動に関して外国人に不法就労をさせたり、不法就労を目的として外国人を自己の支配下に置いたり、不法就労をあっせんしたりした場合に成立し得る犯罪です。
不法就労というと、
「在留資格を持っていない人を働かせること」
だけをイメージしがちですが、それだけではありません。
たとえば、
- 就労できない在留資格の外国人を働かせる
- 在留資格で認められていない業務に従事させる
- 留学生などを資格外活動許可の範囲を超えて働かせる
- 不法残留状態の外国人を働かせる
といったケースも問題になります。
特に注意が必要なのは、「本人が働けると言っていたから大丈夫」とは限らないことです。
出入国在留管理庁は、外国人が不法就労者であることを事業主が知らなかった場合でも、在留カードを確認していないなどの過失があれば、処罰を免れない場合があると案内しています。
不法就労助長罪はさらに厳罰化される
不法就労助長罪については、すでに罰則の引上げも決まっています。
現在は、
3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)
ですが、2027年4月1日以降は、
5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり)
へ引き上げられます。
つまり、不法就労対策は外国人本人への取締りだけではなく、「不法就労をさせる側」に対する責任追及も強める方向に進んでいます。
「欠格事由に追加する」とはどういうことか
今回の強力推進パッケージでは、不法就労助長者の摘発強化に加えて、
不法就労助長罪を各業法の欠格事由に盛り込むことを提案する
とされています。なお、資料上も「法改正が必要」と明記されています。
「欠格事由」とは、簡単にいうと、
一定の事情がある人や法人について、許可・免許・登録などを受けることができない、または維持できないとする条件
のことです。
仮に今後、個別の業法に不法就労助長罪が欠格事由として追加されれば、その業種によっては、不法就労助長罪による処罰が許認可の取得・更新・維持に影響する可能性があります。
ただし、ここは注意が必要です。
現時点で、
「不法就労助長罪になれば、直ちにすべての許認可が取り消される」
という制度が決まったわけではありません。
今回公表されたのは、あくまで今後、関係省庁に対して各業法への追加を提案していくという政策方針です。実際にどの業法が対象となるか、どのような要件になるかは、今後の法改正を確認する必要があります。
摘発そのものも強化される方針
今回のパッケージでは、欠格事由への追加提案だけでなく、外国人の不法就労に対する摘発体制そのものも強化する方向が示されています。
具体的には、
- 警察などとの合同摘発の強化
- 入管単独による摘発の強化
- サイバーパトロールの実現
- 情報提供・通報を促す仕組みの検討
- 不法就労助長者への厳正な対応
などが掲げられています。
そのため、外国人を雇用する企業側にも、これまで以上に適切な在留管理が求められると考えられます。
「在留カードを持っている」だけでは十分ではありません
外国人を採用するとき、
「在留カードを持っているから働けるだろう」
と判断してしまうのは危険です。
確認すべきなのは、在留カードの有無だけではありません。
企業側では、少なくとも、
- 在留資格
- 在留期限
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可の有無
- 実際に従事させる業務内容
- その業務が在留資格の範囲内か
まで確認することが重要です。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている外国人であっても、在留資格に該当しない単純作業などに従事させれば問題となる可能性があります。
実際、出入国在留管理庁も、派遣先などで「技術・人文知識・国際業務」に該当しない現場業務に従事している事案が複数発生しており、不法就労助長罪に該当するおそれがあると指摘しています。
外国人雇用は「雇う前」の確認が重要
外国人雇用では、
採用してから在留資格を確認するのではなく、採用前に仕事内容と在留資格が合っているかを確認すること
が非常に重要です。
特に、
「この仕事内容で雇えるのか」
「今持っている在留資格のままで大丈夫なのか」
「在留資格の変更が必要なのか」
といった点は、採用前に整理しておくことで、企業側のリスクを大きく減らすことができます。
不法就労対策は、今後さらに厳格化していく方向にあります。
外国人本人の在留管理だけではなく、雇用する企業側にも適切な確認・管理体制を整えておくことが求められる時代になってきています。
伊達行政書士事務所では外国人雇用に関するご相談を承っています
伊達行政書士事務所では、
外国人をこれから採用したい企業様や、現在外国人を雇用している企業様からの、
- 在留資格の確認
- 採用予定の仕事内容と在留資格の適合性
- 在留資格変更・更新
- 特定技能外国人の受入れ
- 外国人雇用に関する手続
などのご相談を承っています。
「この仕事を外国人に任せても大丈夫だろうか」
「今の在留資格のまま配置転換してよいのか」
など、採用・配置の段階で判断に迷う場合は、問題が起きてからではなく、事前に確認しておくことが大切です。
電話・DM・ホームページからお気軽にお問い合わせください。

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