外国人を雇用する企業や介護施設から、
母国の運転免許を持っていれば、日本でもそのまま運転できますか?
外国の免許を、日本の免許へ切り替えることはできますか?
という質問を受けることがあります。
外国で取得した有効な運転免許証を持っている方は、一定の条件を満たすことで、日本の運転免許試験の一部免除を受け、日本の免許を取得できる場合があります。
この手続は、一般に**「外国免許切替」または「外免切替」**と呼ばれています。
ただし、令和7年10月1日から、住所確認、知識確認、技能確認の取扱いが見直され、以前よりも手続が厳格化されました。
特に知識確認は、従来の「10問中7問以上」から、現在は**「50問中45問以上」**の正解が必要となっています。技能確認にも新たな課題が加わっており、外国の免許を持っているから簡単に日本の免許へ切り替えられる、とはいえなくなっています。
この記事では、外免切替の基本的な仕組み、令和7年10月から変わった点、岡山県で手続をする場合の注意点を分かりやすく解説します。
※本記事は令和8年8月6日時点の公表情報を基に作成しています。
外免切替とは
外免切替とは、外国の行政機関などから交付された有効な運転免許証を持つ方が、その免許で運転できる車両に対応する日本の運転免許を取得する手続です。
通常、日本の運転免許を取得するには学科試験と技能試験を受ける必要があります。
一方、外免切替では、書類審査や知識・技能の確認を受け、運転に支障がないと認められた場合、正式な学科試験や技能試験の一部が免除されます。法的には、道路交通法第97条の2第3項に基づく「免許試験の一部免除による免許取得」という位置付けです。
なお、外免切替は外国人だけを対象とした制度ではありません。
海外で運転免許を取得した日本人も、要件を満たせば利用できます。
国際運転免許証からは切り替えられない
外免切替の対象となるのは、外国の行政機関などが発給した国内運転免許証です。
国際運転免許証のみを持っていても、そこから日本の運転免許へ切り替えることはできません。
警察庁も、国際運転免許証から日本免許への切替えは実施していないと明記しています。
つまり、
- 外国の国内運転免許証を日本の免許へ切り替える手続
- 国際運転免許証で一定期間、日本国内を運転すること
は別の制度です。
両者を混同しないよう注意が必要です。
外免切替の主な要件
外国の免許を持っていれば、誰でもそのまま日本の免許へ切り替えられるわけではありません。
主な要件は次のとおりです。
1.外国免許が有効であること
原則として、申請時点で外国の運転免許証が有効期間内である必要があります。
外国の免許制度は国や地域によって異なり、免許証に取得日が記載されていない場合や、更新によって交付日が変わっている場合があります。
そのようなケースでは、免許を最初に取得した日を確認するため、発給機関の免許経歴証明書など、追加資料を求められることがあります。
2.免許取得後、発給国・地域に通算3か月以上滞在していること
外国免許を取得した後、その免許を発給した国または地域に、通算して3か月以上滞在していたことが必要です。
この要件は国籍ではなく、どこの国・地域が免許を発給したかで判断されます。
例えば、ベトナム国籍の方が韓国で運転免許を取得している場合は、韓国免許の取得後に韓国へ通算3か月以上滞在したことを証明する必要があります。
滞在期間は、パスポートの出入国記録などによって確認されます。
3.日本に住所があること
申請場所は、日本での住所地を管轄する都道府県警察の運転免許センターなどです。
外国籍の方については、原則として、国籍、在留資格、在留期間などの特定事項が記載された住民票の写しを提出します。
そのため、一般的な観光目的の短期滞在者のように、住民基本台帳に記録されない方は、外交官など法令上の例外を除き、原則として外免切替を申請できません。
ただし、「日本に入国してから6か月以上」など、日本での最低滞在月数が別途定められているわけではありません。
中長期在留者として住民登録を済ませ、その他の要件と必要書類を満たしていれば、申請の対象になり得ます。
令和7年10月から何が変わったのか
令和7年10月1日から、外国免許切替に関する住所確認、知識確認および技能確認の取扱いが変更されました。
主な変更点は、次の3つです。
変更点1|住所確認が厳格化された
外国籍の方が外免切替を申請する場合、原則として、在留資格や在留期間などが記載された住民票の写しが必要です。
住民基本台帳法の適用を受けない外国籍の方については、外交官身分証明票など一定の身分証明書と、公的機関が発行した住所確認書類などを提示・提出できる例外的な場合に限られます。
この見直しにより、ホテルや知人宅などを一時的な滞在先として申請するような取扱いは難しくなりました。
制度上は外国人に限定された手続ではありませんが、住所確認の厳格化は、特に短期滞在の外国人へ大きく影響する変更です。
変更点2|知識確認が10問から50問へ
外免切替において知識確認が必要な方は、日本の道路交通に関する問題へ回答します。
令和7年10月1日以降は、次のように変更されました。
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 問題数 | 10問 | 50問 |
| 合格基準 | 7問以上 | 45問以上 |
| 正答率 | 70%以上 | 90%以上 |
問題数が5倍になっただけでなく、合格に必要な正答率も引き上げられています。
また、従来使用されていたイラスト問題は廃止され、岡山県では制限時間30分で実施されています。
岡山県警は、知識確認と技能確認について、いずれも仮運転免許試験レベルの内容であると案内し、事前の学習や運転訓練を推奨しています。
したがって、外国免許を持っているというだけで、ほとんど準備をせずに合格できる内容ではありません。
外国語でも受けられるのか
外免切替の知識確認は、外国語で受けることができます。
岡山県では、外国語20言語から選択できると案内されています。
対応言語には、次のようなものがあります。
- 英語
- 中国語
- 韓国語
- ベトナム語
- インドネシア語
- タガログ語
- ネパール語
- ミャンマー語
- クメール語
- タイ語
- ポルトガル語
- スペイン語
- ヒンディー語
- ウルドゥー語
- シンハラ語
などです。
日本語能力を試す試験ではなく、日本の交通ルールを理解しているかを確認するものです。
ただし、岡山県の書類審査では、外国免許の取得方法などについて日本語で質問が行われます。日本語で回答できない場合は、通訳者を同伴するよう案内されています。
知識確認を母国語で受けられることと、手続全体に通訳が不要であることは別なので注意が必要です。
変更点3|技能確認も厳しくなった
知識確認に合格した後は、実際に自動車を運転する技能確認が行われます。
令和7年10月からは、
- 横断歩道の通過などの課題を追加
- 審査基準を厳格化
する見直しが行われました。
岡山県では、運転免許センター内の技能試験コースを、日本の交通法規に従って運転します。
確認されるのは、単に車を動かせるかどうかだけではありません。
例えば、
- 発進前の安全確認
- 右左折時の合図と走行位置
- 交差点での確認
- 一時停止
- 横断歩道での歩行者保護
- 速度調整
- 進路変更
- 日本の左側通行への対応
など、日本の道路交通ルールに沿った安全運転が求められます。
外国で長く運転していた方でも、日本とは通行方向や安全確認の方法が異なる場合があります。
実務上は、知識確認だけでなく、日本のルールに沿った運転練習も必要になるでしょう。
国・地域によって知識確認や技能確認が免除される場合もある
外国免許の発給国・地域によっては、知識確認や技能確認が免除される場合があります。
これは、交通ルールや道路標識が日本と完全に同じだからではありません。
その国・地域の免許制度について、
- 免許取得時の学科試験
- 技能試験
- 運転教育
- 適性確認
- 免許の管理制度
などが、日本と同等の水準にあると認められているためです。
ただし、知識・技能確認が免除される場合でも、外国免許の有効性、取得後の滞在期間、住所、視力などの適性確認は必要です。
また、外国の交通ルールと日本の交通ルールが完全に一致するわけではありません。
免除対象国・地域の免許所持者であっても、実際に日本で運転する前に、日本の標識、左側通行、歩行者優先、踏切、一時停止などを確認することが大切です。
岡山県での外免切替の流れ
岡山県で外免切替を行う場合、手続は岡山県運転免許センターで行われます。
現在、手続には予約が必要です。予約は電話または直接来庁して行います。
大まかな流れは、次のとおりです。
1.予約
岡山県運転免許センターへ連絡し、書類審査の予約を取ります。
2.書類審査
必要書類の確認に加え、
- 外国免許を取得した時期
- 取得方法
- 取得後の滞在期間
- 更新歴
などについて質問を受けます。
岡山県警の案内では、書類審査の結果はその場ですぐに確定するとは限らず、後日、電話などで確認する取扱いとされています。
3.適性試験
視力など、運転に必要な適性を確認します。
4.知識確認
免除対象でない場合、日本の道路交通ルールについて50問の確認を受け、45問以上正解すると合格です。
5.技能確認
実車を運転し、日本の交通法規に従った安全運転ができるかを確認します。
6.日本の運転免許証の交付
すべての審査や確認を通過し、必要な手数料を納付すると、日本の運転免許証が交付されます。
岡山県で一般的に必要となる書類
岡山県警の案内では、主に次の書類などが必要です。
- 本人確認書類
- 有効な外国運転免許証
- 外国免許証の日本語翻訳文
- 国籍、在留資格、在留期間などが記載された住民票
- 免許取得後の滞在期間を証明するパスポートなど
- 申請用写真
- 日本の免許証を持っている場合は、その免許証
- 国際運転免許証を持っている場合は、その免許証
- 手数料
外国免許証の日本語翻訳文は、誰が作成してもよいわけではありません。
免許発給国の行政機関・領事機関、JAF、その他の指定法人など、法令上認められた者が作成した翻訳文が必要です。
また、国や免許証の記載内容によっては、
- 免許取得日を証明する書類
- 免許経歴証明書
- 更新歴を確認する資料
- 発給機関の証明書
などが追加で必要になる場合があります。
申請書類は国ごとに同じとは限らないため、翻訳文を取得する前に、岡山県運転免許センターへ確認した方が安心です。
外国人を雇用する企業が注意したいこと
外免切替は外国人本人の手続ですが、業務で運転させる予定の企業にも関係します。
特に、次のような業種では確認が必要です。
- 介護施設の送迎
- 建設現場への移動
- 農作業での車両使用
- 宿泊施設の送迎
- 配送・運搬を伴う業務
- 営業先への移動
外国免許を持っているだけでは日本で運転できない
母国などの国内免許証だけを所持していても、それだけで日本国内を運転することはできません。
日本で運転するには、原則として、
- 日本の運転免許証
- ジュネーブ条約に基づく有効な国際運転免許証
- 一定の国・地域の外国免許証と適法な日本語翻訳文
のいずれかが必要です。
企業が「母国で運転していたから大丈夫」と判断し、免許の種類や有効期間を確認せずに運転させるのは危険です。
外免切替には一定の期間がかかる
外免切替は、必要書類を持参すれば必ず当日に終了する手続ではありません。
書類審査、知識確認、技能確認が別日に行われる場合があり、不足書類や追加確認があれば、さらに時間がかかります。
採用後すぐに運転業務を担当させる予定であっても、外免切替が完了する時期を確約することはできません。
外国人の採用計画を立てる際は、免許取得までの期間を考慮する必要があります。
免許取得と業務範囲は別の問題
日本の運転免許を取得できたとしても、その外国人が在留資格上、予定している運転業務に従事できるかは別途確認が必要です。
例えば、介護分野の特定技能外国人が介護施設で送迎車を運転する場合、免許の有無だけでなく、
- 送迎業務が介護業務に付随する範囲か
- 運転業務だけを主な仕事としていないか
- 雇用契約や職務内容と整合しているか
- 施設側の安全管理体制が整っているか
などを確認する必要があります。
運転免許を持っていることと、在留資格上その業務に従事できることは同じではありません。
よくある質問
外国人であれば、どの国の免許でも切替申請できますか?
外国で正式に発給された有効な免許証であり、取得後の3か月滞在などの要件を満たせば、申請対象になり得ます。
ただし、免許制度や書類の形式は国・地域によって異なるため、追加書類や発給機関への照会が必要になる場合があります。
母国の免許でなければいけませんか?
いいえ。
申請者の国籍ではなく、どこの国・地域が免許を発給したかが基準になります。
日本に何か月住めば申請できますか?
日本での最低滞在月数は定められていません。
ただし、外国籍の方は原則として住民登録があり、特定事項が記載された住民票を提出できる必要があります。
来日直後でも申請できますか?
中長期在留者として住民登録を済ませ、その他の要件と必要書類を満たしていれば、申請対象になり得ます。
ただし、予約、書類審査、知識・技能確認には時間がかかることがあります。
外国免許を持っていれば、知識確認は簡単ですか?
現在は50問中45問以上の正解が必要です。
以前より問題数と合格基準が大幅に引き上げられているため、十分な事前学習が必要です。
日本語が話せなくても申請できますか?
知識確認は外国語で受けられます。
ただし、岡山県では外国免許の取得方法などに関する書類審査の質問が日本語で行われるため、日本語で回答できない方は通訳者の同伴が必要です。
申請を会社や行政書士へ任せられますか?
外免切替は代理申請が認められておらず、本人が申請しなければなりません。
企業や専門家が、必要書類の確認や手続の案内を支援することは考えられますが、実際の申請、質問への回答、知識確認、技能確認は本人が行います。
まとめ
外国の運転免許証を持つ方は、一定の要件を満たすことで、日本の運転免許を取得できる場合があります。
ただし、令和7年10月1日から外免切替は厳格化されました。
主な変更点は、
- 原則として住民票による住所確認が必要
- 知識確認が10問から50問へ増加
- 合格基準が7問以上から45問以上へ変更
- 技能確認に横断歩道通過などの課題が追加
- 技能確認の審査基準も厳格化
というものです。
特に外国人を雇用し、業務で自動車を運転させる予定の企業は、
- 現在どの免許を持っているのか
- 日本国内で有効な免許なのか
- 外免切替の要件を満たしているのか
- 取得までどの程度の期間が必要か
- 在留資格上、予定する運転業務が認められるか
を事前に確認することが大切です。
外国の免許を持っていることだけを理由に、すぐ日本で運転できると判断してはいけません。
外国人雇用に関するご相談
外国人を雇用する際は、運転免許だけでなく、在留資格上認められる業務内容や雇用契約との整合性も確認する必要があります。
伊達行政書士事務所では、介護現場での実務経験を生かし、
- 特定技能外国人に送迎業務を担当させられるか
- 採用予定の業務が在留資格の範囲に含まれるか
- 雇用契約書へどのように職務内容を記載するか
- 外国人雇用に伴う在留手続や届出
- 受入れ企業が事前に確認すべき事項
など、外国人本人と受入れ企業の双方の立場を踏まえてご相談をお受けしています。
外免切替の申請自体は本人が運転免許センターで行う必要がありますが、外国人をどのような業務で雇用できるのか、在留資格との関係に不安がある企業様は、伊達行政書士事務所へご相談ください。

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