お気軽にお問い合わせください  TEL:090-4693-3355 (年中無休)
今すぐ電話する

配偶者居住権とは?住み慣れた自宅と老後資金を守る相続の選択肢

「夫が亡くなったあとも、今の家に住み続けたい」

「妻には自宅を残したい。でも、自宅だけでなく生活資金も確保してあげたい」

相続の場面では、このような悩みがよくあります。

そこで設けられた制度の一つが、配偶者居住権です。

配偶者居住権とは、一定の要件のもとで、亡くなった方の配偶者が、相続開始時に住んでいた建物に引き続き無償で居住できる権利です。法務省は、住み慣れた自宅での生活を確保しながら、預貯金など老後の生活資金も取得しやすくするための制度として案内しています。

この記事では、配偶者居住権とはどのような制度なのか、どんな場面で活用できるのか、遺言書との関係や注意点まで分かりやすく解説します。

目次

配偶者居住権とは?

配偶者居住権は、簡単にいうと、

「自宅の所有権を取得しなくても、その家に住み続けることができる権利」です。

たとえば夫が亡くなり、妻が夫名義の自宅に住んでいた場合を考えてみます。

従来は、妻がその家に住み続けるためには、自宅そのものを相続する形が中心でした。

しかし、自宅の評価額が高いと、

「自宅を取得しただけで、妻の相続分の大部分を使ってしまう」

という問題が起こることがあります。

そこで、自宅の価値を

「住む権利」「所有する権利」

に分けて考える仕組みが配偶者居住権です。

妻は配偶者居住権を取得して家に住み続け、子どもなど別の相続人が建物の所有権を取得する、といった分け方が可能になります。

なぜ配偶者居住権が作られたのか

高齢の夫婦の場合、どちらか一方が亡くなったあとも、残された配偶者は長期間生活を続けることがあります。

そのときに、住む場所生活するためのお金の両方を確保する必要があります。

ところが、相続財産の中で自宅の占める割合が大きい場合、配偶者が自宅そのものを取得すると、預貯金を十分に取得できないことがあります。

法務省も、配偶者居住権を利用すると、自宅の所有権を取得する場合より評価額が低くなるため、その分、預貯金などの生活資金をより多く取得できる場合があると説明しています。

つまり配偶者居住権は、「住む場所を確保する」だけでなく、

「老後の生活資金も確保しやすくする」

ための制度でもあります。

具体例で考えてみましょう

たとえば、夫が亡くなり、相続人が妻と子1人だったとします。

相続財産が、

自宅 2,000万円

預貯金 2,000万円

だったとします。

合計4,000万円です。

妻と子の法定相続分は、それぞれ2分の1なので、金額で考えると2,000万円ずつです。

もし妻が自宅2,000万円をそのまま取得すると、

妻:自宅2,000万円

子:預貯金2,000万円

という分け方になります。

妻は住む場所を確保できますが、手元に預貯金がほとんど残らないということも考えられます。

そこで配偶者居住権を利用します。

仮に、

妻の配偶者居住権 1,000万円

子が取得する負担付き所有権 1,000万円

と評価されたとします。

すると、

妻:配偶者居住権1,000万円+預貯金1,000万円

子:建物の所有権1,000万円+預貯金1,000万円

という分け方も考えられます。

妻は家に住み続けながら、預貯金もある程度確保できることになります。

※実際の配偶者居住権の評価額は、建物の評価額、築年数、配偶者の年齢などを用いて計算します。単純に半分になるわけではありません。国税庁は配偶者居住権等について専用の相続税評価方法を定めています。

「所有権」と「配偶者居住権」は何が違う?

ここは非常に重要です。

自宅の所有権を持っている人は、その建物を売却したり、一定の範囲で貸したりすることができます。

一方、配偶者居住権は、あくまで「その家を使用して住み続けるための権利」です。

自由に売却できる所有権とは性格が違います。

そのため、配偶者居住権は所有権よりも経済的な価値が低く評価されることになります。法務省も、売却や自由な賃貸ができないことなどから、所有権より評価額が低くなる点を制度の特徴として説明しています。

この「所有権より価値が低い」という点が、配偶者が預貯金など他の相続財産を取得しやすくなる理由です。

配偶者居住権はどうやって取得する?

配偶者居住権は、自動的に発生するわけではありません。

主な取得方法としては、遺産分割または遺言による遺贈があります。

法務省も、遺言や遺産分割の選択肢として配偶者居住権を取得できる制度と説明しています。

つまり、相続が発生したあとに相続人同士で話し合って設定する方法もありますし、

「自分が亡くなったあと、妻に配偶者居住権を取得させたい」

と、生前に遺言書で準備しておくこともできます。

遺言書で配偶者居住権を準備することもできます

配偶者居住権は、遺言との相性がよい制度です。

たとえば、「妻には今の家で生涯暮らしてほしい」

一方で、

「自宅そのものは将来的に子どもに引き継いでほしい」

という希望がある場合です。

遺言書で、妻に配偶者居住権を遺贈する

一方で、

子どもに自宅の所有権を相続させる

という設計を検討することができます。

これにより、妻には住む権利子どもには所有権という形で役割を分けることができます。

こんな方は配偶者居住権を検討する価値があります

配偶者居住権は、特に次のような場合に検討する価値があります。

・配偶者に今の自宅で暮らし続けてほしい

・財産の多くが自宅不動産である

・配偶者に預貯金も残してあげたい

・自宅は最終的に子どもへ引き継ぎたい

・再婚家庭などで、配偶者の居住と子どもの相続の両方を考えたい

・遺言書を作成して相続方法をあらかじめ決めておきたい

特に、「妻の住まい」と「子どもへの不動産承継」を両立させたいというケースでは、有力な選択肢になることがあります。

配偶者居住権には登記も必要

配偶者居住権は、建物について登記することができます。

そして、第三者に対して配偶者居住権を主張するためには、登記が重要になります。

法務局によると、配偶者居住権の設定登記は、

配偶者(権利者)建物の所有者(義務者)による共同申請が原則です。

なお、配偶者居住権の登記をするのは建物であり、土地そのものに配偶者居住権の設定登記をするわけではありません。

登記手続きについては司法書士への相談が必要になる場合があります。

配偶者居住権は「使えば得」な制度ではありません

ここは特に注意が必要です。

配偶者居住権にはメリットがありますが、

誰にでも必ず使った方がよい制度ではありません。

たとえば、

・預貯金が十分にある

・配偶者に自宅そのものを所有してほしい

・将来自宅を売却する可能性が高い

・相続人間の関係が複雑

・配偶者居住権を設定すると管理関係がかえって複雑になる

といった場合には、自宅を配偶者がそのまま相続した方がシンプルなこともあります。

また、

誰が固定資産税や修繕費を負担するのか

将来、自宅を売却したくなった場合どうするのか

配偶者居住権が終了したあと建物をどうするのか

といった点まで考えておく必要があります。

そのため、単に「配偶者居住権を使えば相続対策になる」と考えるのではなく、

家族構成・財産構成・配偶者の生活・将来の不動産承継をまとめて検討する

ことが大切です。

「配偶者短期居住権」とは別の制度です

名前が似ているため混同しやすいのですが、

配偶者居住権配偶者短期居住権は別の制度です。

配偶者短期居住権は、夫婦の一方が亡くなった直後に、残された配偶者がすぐ自宅から出ていかなければならない事態を防ぐための制度です。

一定の場合、配偶者は最低でも6か月間、無償で住み続けることができます。

一方、この記事で説明している配偶者居住権は、遺産分割や遺言などによって設定し、長期間または終身にわたり居住を確保するための制度です。

この違いは押さえておきたいところです。

遺言書を作るなら「自宅を誰に残すか」だけで考えない

遺言書を作る際、「自宅は妻に相続させる」という内容だけを考える方も多いと思います。

もちろん、それが最も適したケースもあります。

しかし、相続財産の大部分が自宅である場合には、

妻に家そのものを残す

以外にも、

妻に住む権利を残し、自宅の所有権は子どもに残す

という方法があります。

そのため遺言書を考えるときには、

誰に自宅を所有してほしいのか

だけでなく、

誰に住み続けてほしいのか

配偶者の生活資金をどのくらい確保する必要があるのか

最終的に自宅を誰へ引き継ぎたいのか

まで考えることが重要です。

配偶者居住権は、その選択肢の一つです。

まとめ|「住まい」と「生活資金」を一緒に考える制度

配偶者居住権は、

残された配偶者が住み慣れた自宅に住み続けるための権利

です。

自宅の所有権と「住む権利」を分けることで、

配偶者の住まいを確保する

と同時に、

預貯金などの生活資金も確保しやすくする

という使い方ができます。

また、遺言書によってあらかじめ配偶者居住権を取得させることも可能です。

ただし、実際には、

不動産の評価

相続人の構成

相続税

登記

将来の自宅の利用方法

なども関係します。

そのため、配偶者居住権だけを見るのではなく、相続財産全体とご家族の将来を見ながら設計することが大切です。

「妻には今の家で安心して暮らしてほしい」

「でも、老後の生活資金も残してあげたい」

「自宅は最終的には子どもに引き継いでほしい」

このような希望がある場合には、配偶者居住権と遺言書を組み合わせる方法を一度検討してみてもよいでしょう。

伊達行政書士事務所では、遺言書作成にあたり、相続人や財産内容を整理しながら、ご本人の希望に合った遺言内容を一緒に検討します。税務や登記など他士業の専門分野が関係する場合には、必要に応じた連携も含めて整理していきます。

電話・DM・ホームページから
お気軽にお問い合わせください。
https://date-gyosei.com/

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらお友達登録してね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次