外国人の永住許可について、年収要件が厳しくなる方向で見直されると報道されています。
ニュースでは、
これまで年収300万円程度が目安だったところ、今後は日本人世帯の平均年収である約575万円以上が必要になる可能性がある
という趣旨で紹介されており、不安を感じた方もいるかもしれません。
しかし、現時点で、
永住申請には一律で年収575万円以上が必要になる
と正式に決まったわけではありません。
この記事では、現在の永住許可要件と、今回の報道をどのように理解すべきかを整理します。
※本記事は令和8年8月6日時点の情報を基に作成しています。
まず結論
今回の報道について、現時点で押さえておきたいのは次の点です。
- 「年収300万円」は法律上の正式基準ではない
- 「約575万円」も新たに正式決定した最低年収ではない
- 約575万円は、日本人の1世帯当たり平均所得を参考にした数字
- 本人年収で判断するのか、世帯収入で判断するのかは未確定
- 正式なガイドラインや具体的な運用は、今後の公表を待つ必要がある
したがって、
永住許可の年収要件が300万円から575万円へ正式に引き上げられた
と理解するのは、現時点では正確ではありません。
現在の永住許可に具体的な年収基準はあるのか
現在の永住許可ガイドラインでは、収入に関して、
独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
が要件とされています。
具体的には、日常生活において公共の負担にならず、資産や技能などから見て、将来にわたり安定した生活が見込まれることが求められます。
ただし、現在のガイドラインには、
- 年収300万円以上
- 年収400万円以上
- 年収575万円以上
といった具体的な金額は明記されていません。
「年収300万円程度」とは何だったのか
これまで永住申請では、単身者の場合、年収300万円前後が一つの目安として説明されることがありました。
しかし、これは法律やガイドラインに明記された一律の基準ではありません。
実際の審査では、年収額だけでなく、
- 収入の安定性
- 雇用状況
- 扶養家族の人数
- 世帯全体の収入
- 預貯金
- 納税状況
- 年金や健康保険料の納付状況
などが総合的に確認されます。
そのため、年収300万円を超えていれば必ず許可されるわけではなく、反対に、300万円を下回れば必ず不許可になるという仕組みでもありません。
約575万円はどこから出てきたのか
ニュースで紹介された約575万円は、永住許可のために新たに決定された金額ではありません。
この数字は、厚生労働省の国民生活基礎調査における、
1世帯当たりの平均所得金額
を参考にしたものと考えられます。
ここで注意したいのは、約575万円は、
会社員1人の平均年収ではなく、世帯全体の平均所得
だということです。
例えば、夫婦共働きの世帯であれば、夫婦双方の収入が含まれます。
一方、これまで言われてきた「年収300万円程度」は、主に申請者本人の収入を前提として語られることが多い数字でした。
したがって、
本人年収300万円と世帯所得575万円を単純に比較することはできません。
一律で575万円必要になるのか
現時点では、そのようには断定できません。
報道では、日本人世帯の平均を上回る年収を原則として求める方向とされていますが、具体的な基準はまだ明らかになっていません。
特に、次の点は未確定です。
本人年収で判断するのか
申請者本人だけの収入で判断するのかは分かっていません。
世帯収入を合算できるのか
配偶者にも収入がある場合、その収入を合算して判断するのかは、正式な運用を確認する必要があります。
扶養人数をどのように考慮するのか
単身者と、配偶者や子どもを扶養している人では、必要な生活費が異なります。
今後、世帯人数に応じた調整が行われるのかも重要なポイントです。
預貯金で補えるのか
報道では、収入が基準に届かない場合でも、預貯金などの資産で補える可能性が示されています。
ただし、必要な預貯金額や評価方法はまだ分かっていません。
年収以外にも見直しが報道されている
今回の報道では、年収だけでなく、次の点も審査上の判断材料として具体化する方向が示されています。
- 将来の年金受給見込み
- 預貯金などの資産
- 日本語能力
- 日本の制度や生活ルールへの理解
ただし、これらについても、具体的な金額や日本語試験の級などは正式に示されていません。
そのため、
厚生年金に30年間加入していなければ永住できない
日本語能力試験N2が必須になる
といった断定は、現時点ではできません。
今後確認すべきポイント
正式なガイドラインが公表された際には、特に次の点を確認する必要があります。
- 具体的な年収基準
- 本人収入と世帯収入の取扱い
- 扶養家族がいる場合の基準
- 預貯金や資産の評価方法
- 年金受給見込み額の確認方法
- 日本語能力の判断基準
- 適用開始時期
- 申請中の案件や経過措置の取扱い
このあたりが明らかにならなければ、実際の申請への影響は正確に判断できません。
永住申請を検討している方へ
今回の報道だけを見て、
自分は575万円に届かないから永住申請できない
と判断するのは早いです。
一方で、
これまで年収300万円程度あれば大丈夫だったから問題ない
と考えるのも注意が必要です。
永住許可は、年収だけで決まる手続ではありません。
申請を検討する場合は、次の点を総合的に確認する必要があります。
- 在留年数
- 現在の在留資格
- 収入状況
- 家族構成
- 預貯金
- 納税状況
- 年金・健康保険料の納付状況
- 転職歴や無職期間
- 法令違反の有無
今後の制度変更も踏まえ、早めに現在の状況を整理しておくことが大切です。
まとめ
今回の報道では、永住許可の年収要件について、日本人世帯の平均所得を上回る水準を求める方向が示されています。
しかし、現時点で、
永住申請には一律で年収575万円以上が必要になる
と正式に決まったわけではありません。
また、これまで言われてきた「年収300万円程度」も、法律やガイドライン上の正式な基準ではありませんでした。
現段階では、
これまで明確でなかった収入や資産などの審査基準を、今後より具体化・厳格化する方向で検討されている
と理解するのが適切です。
正式なガイドラインや運用が公表され次第、本人年収と世帯収入の考え方、扶養家族、預貯金、年金、日本語能力などを確認する必要があります。
ご相談について
永住申請は、年収だけでなく、在留年数、納税、社会保険、家族構成などを総合的に検討する必要があります。
永住申請を検討されている方や、現在の状況で申請が可能か確認したい方は、伊達行政書士事務所までご相談ください。
※本記事は令和8年8月6日時点の公表情報および報道内容を基に作成しています。報道されている内容は、現時点で正式な新ガイドラインとして確定していない部分を含みます。実際の申請に当たっては、最新の出入国在留管理庁の公表資料をご確認ください。

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